rie’sCafe BAR vol.118に参加しました
2017/5/23(火)22:00-23:30にウェブテレビ番組「rie’sCafe BAR(リエズ・カフェバー) Vol.118」にゲストとして参加させていただきました。
この記事は、その時の内容の振り返りと、補足などをとりとめもなく書く記事です。
CONTENTS
- rie's CafeBARとは
- 自己紹介
- 1000人のファン
- 今回のテーマ
- マストドンとは
- なぜマストドンは注目されているのか
- コミュニティの重要性
- ちょうどいいコミュニティのサイズ
- 注目しているインスタンス
- 民主化?の夢ふたたび
- オープンソースの理想
- プライバシー情報
- マストドンのダメなとこ
- さいごに
rie's CafeBARとは
rie's CafeBARとは、UstreamとYouTubeとSHOWROOMの3つで同時にライブ配信される、エンターテイメン*1雑談ウェブテレビ番組です。YouTubeでは後日アーカイブもアップされます*2。
カフェバーで雑談している、というコンセプトで、rieさんがバーテンダーという役回りなのだそうです。
rieさん以外に、はたぼーさんもパーソナリティとしていらっしゃいます。後、あまり画面には出てこないのですが、じゅんちゃんさんが、バリスタとして参加されています*3。
配信は、大阪市内某所にある「はたぼーひみつ基地」という謎めいたスタジオから行われています。
<公式サイト>
rie's CafeBAR(リエズ・カフェバー)USTREAM番組 公式サイト
http://riecafebar.com/
<about>
この番組、基本的には番組スタッフからのオファーにより毎回のゲストが決まるようですが、自分で希望することもできると書いてありますので希望したところ、ゲスト参加させていただけることになりました*4。
自己紹介
こんな感じ*5。
1000人のファン
雑談番組ということでがんばって雑談しないとと思い(?)、本題に入る前に余談から始めてみました。ケヴィン・ケリーさんの「1000人のファン」について。
概要としては、ネットが発達したことで、1000人の熱心な*6ファンがいれば、コンテンツを作ることを仕事にできる(食っていける)ようになっていく、というものです。
マストドンの可能性について話をするのに、このエッセイが、一番文脈として適しているのではないかと思い、ご紹介させていただきました。
つまり、今回ネットの歴史の中に新たに生まれた、1000人のファンの世界を実現するためのすばらしく可能性を感じさせるツール(のひとつ)が「マストドン」だ、というわけです。
今回のテーマ
今回希望した雑談テーマは、「マストドン」です。今年の4月に一部界隈でにわかに*7話題となったこのSNSについて、ぜひこの番組でお話できれば、と思い提案させていただきました。
マストドンとは
マストドンは、大雑把にいうと、TwitterみたいなSNSです。ドイツの方が開発したオープンソース(ライセンス:AGPL)のソフトウェアです。オープンソースなので、誰でも自分でマストドンのサーバーを立てることができます。そして、4月に日本の大学院生の方が日本でサーバーを立てたことにより、大きく注目されることになりました。主なTwitterとの違いとしては、文字数が500文字ぐらいまでいけることや、投稿内容についてユーザーがクリックしないと表示できなくする機能があることや、システムが分散型で、複数のサーバー(インスタンスと呼ばれる)が、ゆるく連合という集合体として稼働する、という点があげられるのではないかと思います。
なぜマストドンは注目されているのか
マストドンが話題になった理由としては、Twitterの常識が(だいたい)そのまま使えるわかりやすさがあるのではないかと思います。
とはいえ、じゃあ、これがTwitterと同じくらいすぐ流行るの?と言われれば、そんなことはないと思います。今のTwitterと比較すれば、いかにも古臭いユーザーインターフェイスだと思いますし。今のTwitterに特に不満が無い人にとっては、特に魅力的でもないかも知れません。
でも、最近のTwitterの変化(広告・ハイライト等コントロールされるタイムライン)を好ましく思っていない人にとっては、魅力的なのではないかと思います。そういう意味でも、良くも悪くも昔のTwitterという感じです。
あるいは、もし仮に、Twitterが経営的に立ち行かなくなるような事態が発生すれば(その可能性がどの程度あるかはわかりませんが)、その代替として期待される、という側面もあるかとは思います。
個人的には、コミュニティが中心であることと、オープンソースであることから、マストドンに注目しています。
コミュニティの重要性
学校、家、会社・・。そういった中で生活していると、無意識のうちにその中の常識に染まり、縛られてしまっていたんだなぁ・・と、初めてコミュニティ*9に参加したときに感じる人は少なくないのではないかと思います。
コミュニティの魅力を、コミュニティに参加していない人に伝えることは非常に難しいです。「純粋に楽しい」「会社の枠にしばられないのが良い」「自由で良い」「お金のにおいがしないのが良い」「仕事につながる」「仲間ができる」「イケてるマーケティングの手法」などなど、その魅力については色々な場所で様々な人により語られているところではあります。
僕自身は、コミュニティは今後の社会において非常に重要だ、と思っている人間なので、とりあえずはあまり難しく考えずに、楽しめる人からそれぞれの楽しみ方で参加してみるのが良いかと思っています。
そういえば、6/8(木)にも、コミュニティについて熱く語るイベントが開催されるようです。このあたり興味ある方は、ぜひご参加いただくと良いのではないかと。
大阪でのパブリックビューイングもあります。
「TechLION vol.30」パブリックビューイング@大阪 #TechLION : ATND
ちょうどいいコミュニティのサイズ
突然ですが、僕は、いわゆる痛勤電車が大嫌いです。「痴漢」「化粧」「順番並ばず横入り」「降りる人が先」「イヤホンシャカシャカ」「キャリーバック」「ベビーカー」等々、様々な問題が混雑した電車の中で発生していますが、これって結局「人が集まり過ぎ」がベースにある上で発生している問題なんだと思います。
Twitterにしても、人が集まり過ぎているから発生している問題が多いのではないかと感じます。
その一方、人が少なすぎると、過疎状態になってしまうし、それを無理矢理なんとかしようとするのも、無理があるのではないか、と感じることもあります。
一方では「集まり過ぎて問題」、もう一方では「過疎りすぎて問題」という状況を、「ちょうどいいぐらいに集まっている状態」にできれば、すごくいいですよね。
マストドンで、大小様々なインスタンスが立ち、盛り上がったり過疎ったりする中で、最適なサイズのコミュニティがそれなりの数生き残っていけるようになれば、より良いのではないかと思います。
注目しているインスタンス
そんな価値観で現在のマストドンインスタンスを見渡す中で、注目しているインスタンスをいくつかご紹介します。
グルドン
Podcast「backspace.fm」等をされているドリキンさんが立てたインスタンス。なんと、Podcastのライブ収録配信時しかユーザー登録できないという斬新な形で運用されています。規模(1,500人程度)、ローカルタイムラインの内容(年齢層は高め)、コミュニティ(Podcast起点)、という側面から見て、最も理想的な状態にあるインスタンスの一つではないかと思います。
kitty.town
グルドンで紹介されていたので知った、Ginny McQueenさんという海外の方のインスタンス。Podcast*10に比較すると、Youtuberは、社会に(良くも悪くも)かなり認知されていると思います。というわけで、有名Youtuberのインスタンスが立つのを楽しみしてしているのですが、僕が知る範囲では、日本人Youtuberのインスタンスはまだあまり見かけません*11。ただ、Youtuberの視聴者は、圧倒的に10代が中心のようなので、インスタンスの運営が大変になる懸念もあります。で、とりあえず、海外の(おそらく)Youtubeで主に情報発信されている方が運営されているインスタンスである kitty.townには注目しています。(タイムラインの英語はほとんど理解できていないですけど・・)
余談ですが、このGinnyさんも利用している、パトロンになって毎月いくらかを支払うというコンセプトのPatreonというサービスも、1000人のファンを実現するための、強力なツールの一つになりそうですね。日本だとEntyというサービスがあるようです*12。
北海丼
マストドンブームに乗って、いろいろな地域インスタンスを立てる人が現れました*13。その中で、注目しているのが北海道インスタンス「北海丼」です。
こういう地域インスタンスについては、いかに地域愛が強いかが重要な要素となるわけですが、僕が知る限り、北海道(道民)の地元愛は、日本の中でかなり上位に位置するのではないかと思います。利用するサーバも北海道で稼働するクラウドを使うというこだわりよう*14です。
また、entyを活用されている点でも、注目しています*15。
民主化?の夢ふたたび
インターネットをみんなが使い始めたころ、そこには「テレビや新聞、ラジオといったメディアを介しなくても、個人が自分のホームページ(サイト)から情報を自由に発信できる時代になった!すげー!!」というような空気感があったように思います。
次に、ブログが流行り始めたころ、そこには「個人がメディアとなって、自分の得意な分野の情報を発信することで、収入を得て生きていける時代になる!すげー!!」というような空気感があったように思います。
しかし、そういう空気感は少しずつ感じられなくなってきていて、「自分でサイトもつとか、ブログ書くとか面倒くさい。TwitterとかFacebookとかInstagramとかで十分。そもそも公開したいこともないから、LINEで十分」という空気感があるように思います。さらにはその上で「Facebookのリア充自慢うざい、いやInstagramのここがウザい、いやTwitterのここがウザい」みたいな話もよく耳に*16します。
今回のマストドンブームに、過去にホームページやブログで感じた前述のような雰囲気を懐かしんでノスタルジーを感じてる人もいるように思います。それでは、今回のマストドンはどうでしょう。客観的に考えれば、ホームページやブログと同じようにだんだんなる、と考えるのが妥当のように思われます*17。
ちなみに、有名なオープンソースのソフトのひとつであるWordPressのミッションは「パブリッシングの民主化」で、それもあって「民主化」というちょっと硬い言い方をここではしてみました*18が、そんなに高尚なことを言うつもりもなくて。もっと身近なイメージで言うと、例えば、僕が今住んでいる地域には、今も個人商店が結構あります*19。個人的には、個人商店がいっぱいある方が楽しいと思うようになりました。今でも、そういった個人商店を始める若い人が集まる地域も出てきていますよね。同じような感覚で、小規模なマストドンインスタンスがたくさんできると嬉しいですね。
あとは、望むらくは個人ではなかなか到達することが難しかったところまで、コミュニティの力で達することができれば・・という感じです。
オープンソースの理想
今回のマストドンブームについて、あまりオープンソース界隈で喝采が上がっているように感じられない*20のが、意外な感じです。
Googleのアカウントがなくても、Facebookのアカウントがなくても、LINEのアカウントがなくても、Slackを使わなくても、リアルタイム性の高いコミュニティのコミュニケーションに使えるツールが出たので、これまで消去法でMLのみコミュニケーションを行っていたようなコミュニティにとっては、強力な次の選択肢になるのではないかと思います。
とりあえず、「○○ユーザのためのハブサイト」として作ったけどその役割を十分に果たせていないサイトがいくつかあるように見受けられるので、そのドメインをマストドンを立ち上げるのに活用してみると良いんではないかと思います*21。
プライバシー情報
現代は、世界をまたにかけた巨大企業が世界の市場を闊歩する時代です。個人は、広告を見るなど、企業が期待する行動を行ったり、自分の行動記録を無償提供することと引換えに、お金を払うことなく*22でサービスを使用できる、というモデルも増えてきました。
おそらく、今後どんどん機械学習やIoTが進化すれば、企業はさらに精度の高い価値ある良質な個人の行動に関する情報を入手し、消費者をより満足させられる方法を研ぎ澄ませ、より良いサービスを提供できるようになってくるのではないかと思います。
なんだか良さげな未来な気もしますが、でもこれって、一歩間違えればディストピアになりかねないとも言えるのではないかと思います。
僕たちは、改めてストールマンさんの主張に耳を傾けるべき時なのではないかと思います。そういった側面からも、AGPLであるマストドンが盛り上がることには期待したいところです。
マストドンのダメなとこ
良い面だけ持ち上げるのではなく、ネガティブな部分についても記述しておきたいと思います。
システムが未熟
マストドンは、まだ歴史が浅く、システムとして、まだまだ不十分な面が多いです。例えば、退会機能が無い*23、一度投稿した内容を削除する機能が無い*24といった部分については、ふつうの人*25にオススメするには、かなり厳しいと思います。
ユーザー増が打ち止め
一時的に爆発的に増加したユーザー数も、最近は落ち着いているようです。書き込みも、ローカルタイムラインを見ると最近は数人しかしていないインスタンスも多く、これをみて「マストドンはもうオワコン」と考える人もいると思います。
さいごに
「1000人のファン」の世界を現実にしていくために、マストドンは理想的なSNSソフトだと感じています。しかし同時に、マストドンだけでは足りないとも思います。前述のパトロンサービスのような仕組みや、YouTube、Podcastのように、動画や音声で個人が情報を発信できる仕組みやサービス、cluster.のようにネットの中で集会を開くサービス、たくさんのインスタンスを効率よくブラウジングできるマストドンクライアントアプリ等々、コミュニティを盛り上げるための様々なピースが、ピタッと組み合わさって、中小規模コミュニティがどんどん活性化すると良いですね〜
というわけで、rieさん、はたぼーさん、じゅんちゃんさん、この度は大変お世話になりありがとうございました。りえ丼?のお話もお待ちしておりますw
また、このようなとりとめもない記事を最後まで読んでくださったみなさんにも、ありがとうございました。
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*1:トが抜けているような...?
*2:vol.118はまだアップされていないようです
*3:毎回のおいしいコーヒーを淹れてくれるのです
*4:実際には、そんなあつかましい人はあまりいないような空気も感じられますが、空気を読まずに希望したらご快諾いただけましたw。本当にありがとうございます
*5:テーマがマストドンなのにTwitterのプロフィールですみません
*6:英語では「True」、堺屋七左衛門さんの訳では「忠実な」となっています
*7:ここでいう「にわか」には、「急に、突然」といった意味で使っており、「ミーハー」的なネガティブな意味はありませんので、念のため。
*8:注目されているといっても、あくまで一部界隈であり、いわゆるキャズムの向こうには全然とどいていないとは思いますが
*9:本記事でいうコミュニティとは「信頼関係でつながった人々が自主的に参加するオープンな集まり」という条件を満たしているもの
*10:一度盛り下がった後地道に盛り上がってきていると感じますが、まだまだマイナーな存在と感じます。
*11:ドリキンさんはYoutuberでもあるようですが、やはりコミュニティのベースはPodcastの方だと思うので、ここでは別枠とさせていただきます
*12:なんかアダルト系のものが多く閲覧注意な感じなので、リンクは控えます。あ、さらに余談ですが、GinnyさんのPatreonのメニューの中に「Exclusive Nude Art Photos」とかいうのもあるようですねドキドキしますね。。
*13:同じ地域で2つ立ち上がったりするケースも見受けられます。
*14:ありがとうございます!
*15:前述の1000人のファンの流れで。そういう意味では、できれば、サーバの維持、メンテナンスに限定するのではなく、そういうったものも含め、このコミュニティ(インスタンス)を盛り上げるために使う、ということにすると良いのではないかと思います。それで、北海道がもっと盛り上がれば、最高ですよね
*16:もしくは目に
*17:とはいえ、今だってウェブサイトもブログもなくなったわけでは全くないわけですけど。
*18:WordPressになぞらえれば、マストドンは「SNSの民主化」を実現できるツールといえるのかも、という感じです。
*19:最近は運営者が高齢化してどんどん閉店してきていますが・・
*20:フリーソフトウェア界隈に関しては、有名な自由ソフトウェア主義者の江添さんから喝采が上がっているのは確認しましたが
*21:自戒を込めてw 僕も一つ作りました。
*22:もらうこともなく
*23:正確には、管理者の手作業になる
*24:正確には、投稿したインスタンスでは削除可能だけど、他のインスタンスに流れた発言まで追えない。最新バージョンでは改善されたみたい?
*25:レイトマジョリティ層あたりをイメージ